11/25/2011
ERGON Turkey Burner 2011
「そうだ、コロラドへ行こう。」
と先週末に思い立ち、一回も使ったことがなかったマイルでチケットを予約して、先日のバケーションから中一週間でデンバーへ飛んだ。昨晩は例年のようにカズカワ御殿でターキーをたらふくいただき、今日は池田選手に誘われてグループライドに参加。その名もERGON Turkey Burner、昨日食べまくった七面鳥のカロリーをマウンテンバイクに乗って燃やしましょうという趣旨のライドだ。「マウンテンバイク女子も来るしペースはまったり系」という池田選手の言葉を真に受けて気楽な気分で集合場所に行ってみると、どう考えても自分より速そうな屈強の野郎どもばかり15人ほど集まっていた。おいおい、話が違うよ…と思いつつも、来てしまった以上は乗るしかない。
今回のコースはWhite Ranchを一通り乗ってさらにChimney Gulchを登ってApexを下るGoldenトレイルのフルコース。長丁場なので最初は抑え気味で乗りたいけど、グループライドではずっとマイペースというわけにもいかない。いつもより15%薄い空気でやたら息が上がる中Belcher Hillの長い登りをがしがしと登り、それなりに頑張ってなんとか集団の中盤あたりで喰らい付いて行った。
登りはなんとか体力でカバーできたものの、下りではテクニックのなさが露骨に現れて最後尾グループになってしまった。カリフォルニアにはこんなテクニカルなトレイルはほとんどないので、ただでさえしょぼいライディング技術が錆びつくのはどうしようもない。岩場でラインを読む能力がすっかり衰えてしまい、フルサスペンションのバイクに頼って結構無茶なラインを乗っていた。そして無理そうな所は安全第一でためらわず降車。
White Ranchは所々やたら止水板が多い所がある。地元ではここは"Waterbar Ranch"と呼ばれているらしい。これもカリフォルニアで乗れるトレイルには滅多になくて、乗り越えそこねて何度もスタックした。恥ずかしい…
こんな感じで何度も降りていると集団からどんどん遅れてしまう。途中で自分も含めた遅い組5人が分岐のところで前を見失い、真っすぐ行くべきところを曲がって集団からはぐれてしまった。そのうちに別ルートで下ってきて待っていた集団に合流できたけど、池田選手は落ちこぼれ組を探しに下ってきたトレイルをまた登ったそうだ。ご迷惑をおかけしました。
そうして第一部のWhite Ranchから戻ってくると、みんな続々と帰り支度を始めた。あれ、みんなChimney Gulch登るんじゃなかったの?自分と同じパックのライダーはみんな帰ってしまい、残ったのは自分の他には全員プロ。しかもここまでですでに4000ft近く登ってかなり足が死んでいる。恐れていた通りChimney Gulchに入った途端他のライダーが一瞬で視界から消え、あとは最後まで延々と一人でひぃひぃ言いながら登る羽目になった。分岐の度にみんなに待っててもらって、追い付いたら休む間もなくまたスタートを繰り返すのは惨めの極みとしか言いようがない。足も肺も燃え尽きて、本当に登るだけで精一杯だった。
登り切ったらかつて血の洗礼を受けたApex。こんなキケンなトレイルはカリフォルニアにはない。「こんなとこをマウンテンバイクに解放しているコロラド人はクレイジー」と心にもない言い訳をつぶやきながら安全第一で亀並みのスピードで下った。
楽しいトレイルが終わっても駐車場までの回送ライドが続く。不幸なことにApexのトレイルヘッドから駐車場までは登りが続き、足を完全に使い果たして回送ペースでもついていけない。それどころか、後からやってきた普通の人っぽいマウンテンバイク女子3人にすらちぎられた。
最後の最後で携帯の電池が切れて一部記録できなかったけど、時間にして5時間半以上、距離32マイル以上。こんなにがっつり乗ったのは去年のBreckenridge 100以来だ。グループで乗ると刺激になるし、やっぱりコロラドのトレイルの方が乗ってて面白い。早く戻ってきてコロラドのトレイルを死なずに乗り続けられるようになりたい。
池田選手のレポート。
ライドムービー。
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と先週末に思い立ち、一回も使ったことがなかったマイルでチケットを予約して、先日のバケーションから中一週間でデンバーへ飛んだ。昨晩は例年のようにカズカワ御殿でターキーをたらふくいただき、今日は池田選手に誘われてグループライドに参加。その名もERGON Turkey Burner、昨日食べまくった七面鳥のカロリーをマウンテンバイクに乗って燃やしましょうという趣旨のライドだ。「マウンテンバイク女子も来るしペースはまったり系」という池田選手の言葉を真に受けて気楽な気分で集合場所に行ってみると、どう考えても自分より速そうな屈強の野郎どもばかり15人ほど集まっていた。おいおい、話が違うよ…と思いつつも、来てしまった以上は乗るしかない。
今回のコースはWhite Ranchを一通り乗ってさらにChimney Gulchを登ってApexを下るGoldenトレイルのフルコース。長丁場なので最初は抑え気味で乗りたいけど、グループライドではずっとマイペースというわけにもいかない。いつもより15%薄い空気でやたら息が上がる中Belcher Hillの長い登りをがしがしと登り、それなりに頑張ってなんとか集団の中盤あたりで喰らい付いて行った。
登りはなんとか体力でカバーできたものの、下りではテクニックのなさが露骨に現れて最後尾グループになってしまった。カリフォルニアにはこんなテクニカルなトレイルはほとんどないので、ただでさえしょぼいライディング技術が錆びつくのはどうしようもない。岩場でラインを読む能力がすっかり衰えてしまい、フルサスペンションのバイクに頼って結構無茶なラインを乗っていた。そして無理そうな所は安全第一でためらわず降車。
White Ranchは所々やたら止水板が多い所がある。地元ではここは"Waterbar Ranch"と呼ばれているらしい。これもカリフォルニアで乗れるトレイルには滅多になくて、乗り越えそこねて何度もスタックした。恥ずかしい…
こんな感じで何度も降りていると集団からどんどん遅れてしまう。途中で自分も含めた遅い組5人が分岐のところで前を見失い、真っすぐ行くべきところを曲がって集団からはぐれてしまった。そのうちに別ルートで下ってきて待っていた集団に合流できたけど、池田選手は落ちこぼれ組を探しに下ってきたトレイルをまた登ったそうだ。ご迷惑をおかけしました。
そうして第一部のWhite Ranchから戻ってくると、みんな続々と帰り支度を始めた。あれ、みんなChimney Gulch登るんじゃなかったの?自分と同じパックのライダーはみんな帰ってしまい、残ったのは自分の他には全員プロ。しかもここまでですでに4000ft近く登ってかなり足が死んでいる。恐れていた通りChimney Gulchに入った途端他のライダーが一瞬で視界から消え、あとは最後まで延々と一人でひぃひぃ言いながら登る羽目になった。分岐の度にみんなに待っててもらって、追い付いたら休む間もなくまたスタートを繰り返すのは惨めの極みとしか言いようがない。足も肺も燃え尽きて、本当に登るだけで精一杯だった。
登り切ったらかつて血の洗礼を受けたApex。こんなキケンなトレイルはカリフォルニアにはない。「こんなとこをマウンテンバイクに解放しているコロラド人はクレイジー」と心にもない言い訳をつぶやきながら安全第一で亀並みのスピードで下った。
楽しいトレイルが終わっても駐車場までの回送ライドが続く。不幸なことにApexのトレイルヘッドから駐車場までは登りが続き、足を完全に使い果たして回送ペースでもついていけない。それどころか、後からやってきた普通の人っぽいマウンテンバイク女子3人にすらちぎられた。
最後の最後で携帯の電池が切れて一部記録できなかったけど、時間にして5時間半以上、距離32マイル以上。こんなにがっつり乗ったのは去年のBreckenridge 100以来だ。グループで乗ると刺激になるし、やっぱりコロラドのトレイルの方が乗ってて面白い。早く戻ってきてコロラドのトレイルを死なずに乗り続けられるようになりたい。
池田選手のレポート。
ライドムービー。
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08/22/2011
ユーキ・イケダ・アンオフィシャルMTBツアー
こんにちは。ベイエリアのファンライダー、ニッシーです。今日は、なんとあのTopeak Ergon Racing Teamのユーキ・イケダ選手の (アン) オフィシャル・マウンテンバイク・ツアーに参加させていただきました。場所はデンバーの西、ゴールデンという町のチムニーガルチ・トレイルとエイペックス・トレイル。
エイペックス・トレイルの駐車場からスタートして、まずはバイクパスを通ってチムニーガルチの麓に向かいます。先週からレッドビル100やブレック・エピックに出場してレース続きのユーキ選手、ちょっとした登りでも「脚が重い、ちぎられそう」となかなかきつそうな様子。でももちろんこれはファンサービス、一度トレイルに入ったら容赦なくがしがしと登って行きます。チムニーガルチの下の方はすごく急でカリフォルニアのへなちょこライダーには乗れないところがたくさんあるけど、そこをノンストップで登り続けるユーキ選手はさすがプロ。いきなり差を見せつけられました。途中ユーキ選手が先に行かせてくれて、これでやっとマイペースで乗れると思ったら今度は後ろから「オラオラオラ」とプレッシャーをかけてきます。「いつも全力」がユーキ・バイクツアーのモットー、こうなったら腹を括って気が遠くなるまで追い込みましょう。
2回道路を横切って結構上の方まで登ってきたところで、「えー、インナーリング使ってるの?だめだめ、ここからアウターで。」とユーキ選手からおしかりを受けました。今回お借りしたバイクはSRAMのフロントダブルで、いつも乗ってるトリプルのアウターリングよりは軽いけど、ただでさえ薄い空気に苦しんでいる体への負荷はさらに上がります。でもユーキ選手のありがたいアドバイスに背くなんてもったいないことはできません。ゼーゼー言いながら、なんとかアウターだけでチムニーガルチの頂上まで辿り着きました。
ここから先は楽しいエイペックスのダウンヒルです。ユーキ選手はプロのテクニック全開でとんでもないスピードで下って行きますが、カリフォルニアのへなちょこライダーが無理して追いかけるとキケンです。エンチャンティドフォレスト・トレイルのなんでもないウォーターバーに前輪を引っかけて、結構なスピードで落車してしまいました。恥ずかしい…
こけたときに今回お借りしたバイクのブレーキがいつもと逆の日本仕様 (左が後輪、右が前輪) ということを聞き、落車のショックと慣れないブレーキが気になってダウンヒルはすっかりびびってしまいました。ベイエリアのスムーズなトレイルと比べると、コロラドのトレイルはやっぱり難しいです。みなさん、コロラドで乗るときには慣れるまで慎重に行きましょう。
途中、グラブステークループからボルダーの方の景色が見えました。この延々と続く尾根の風景がコロラドらしくていいですね。いつかコロラドに戻ってきて、この辺りを毎週乗れるようになりたいものです。
久しぶりに乗るコロラドのトレイルはベイエリアに比べてずっと難しく感じましたが、お借りしたフルサスペンションバイクの性能とユーキ選手の適切なアドバイスのおかげで、無事最後まで乗り切ることができました。次回機会があれば、もっと自分の体力とテクニックを磨いてもっとハードに乗れるようになってからご一緒させていただければと思います。
ユーキ選手、今回はどうもありがとうございました。
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エイペックス・トレイルの駐車場からスタートして、まずはバイクパスを通ってチムニーガルチの麓に向かいます。先週からレッドビル100やブレック・エピックに出場してレース続きのユーキ選手、ちょっとした登りでも「脚が重い、ちぎられそう」となかなかきつそうな様子。でももちろんこれはファンサービス、一度トレイルに入ったら容赦なくがしがしと登って行きます。チムニーガルチの下の方はすごく急でカリフォルニアのへなちょこライダーには乗れないところがたくさんあるけど、そこをノンストップで登り続けるユーキ選手はさすがプロ。いきなり差を見せつけられました。途中ユーキ選手が先に行かせてくれて、これでやっとマイペースで乗れると思ったら今度は後ろから「オラオラオラ」とプレッシャーをかけてきます。「いつも全力」がユーキ・バイクツアーのモットー、こうなったら腹を括って気が遠くなるまで追い込みましょう。
2回道路を横切って結構上の方まで登ってきたところで、「えー、インナーリング使ってるの?だめだめ、ここからアウターで。」とユーキ選手からおしかりを受けました。今回お借りしたバイクはSRAMのフロントダブルで、いつも乗ってるトリプルのアウターリングよりは軽いけど、ただでさえ薄い空気に苦しんでいる体への負荷はさらに上がります。でもユーキ選手のありがたいアドバイスに背くなんてもったいないことはできません。ゼーゼー言いながら、なんとかアウターだけでチムニーガルチの頂上まで辿り着きました。
ここから先は楽しいエイペックスのダウンヒルです。ユーキ選手はプロのテクニック全開でとんでもないスピードで下って行きますが、カリフォルニアのへなちょこライダーが無理して追いかけるとキケンです。エンチャンティドフォレスト・トレイルのなんでもないウォーターバーに前輪を引っかけて、結構なスピードで落車してしまいました。恥ずかしい…

こけたときに今回お借りしたバイクのブレーキがいつもと逆の日本仕様 (左が後輪、右が前輪) ということを聞き、落車のショックと慣れないブレーキが気になってダウンヒルはすっかりびびってしまいました。ベイエリアのスムーズなトレイルと比べると、コロラドのトレイルはやっぱり難しいです。みなさん、コロラドで乗るときには慣れるまで慎重に行きましょう。
途中、グラブステークループからボルダーの方の景色が見えました。この延々と続く尾根の風景がコロラドらしくていいですね。いつかコロラドに戻ってきて、この辺りを毎週乗れるようになりたいものです。

久しぶりに乗るコロラドのトレイルはベイエリアに比べてずっと難しく感じましたが、お借りしたフルサスペンションバイクの性能とユーキ選手の適切なアドバイスのおかげで、無事最後まで乗り切ることができました。次回機会があれば、もっと自分の体力とテクニックを磨いてもっとハードに乗れるようになってからご一緒させていただければと思います。
ユーキ選手、今回はどうもありがとうございました。
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08/21/2011
Leadville Trail 100 Run 風雲伴走録
今回のコロラド出張の真の目的は、Leadville Trail 100 Runを走るじゅんこさんのサポートクルーを勤めること。今でこそバイクレースの方が有名になってしまったけど、Leadville 100といえばランが本家本元だ。このレースでは折り返し地点からペーサー (伴走) を付けられる。コロラドでさんざんお世話になったじゅんこさんにペーサーを頼まれたとあっては、生半可な気持ちで望むわけにはいかない。2月末のRedwood 50k以来中断していたトレイルランを再開し、週末は山に繰り出して、自分なりに練習をしてコロラドにやってきた。
ところが、ボルダー滞在最終日の木曜日の朝、レース2日前にしてひどい偏頭痛で目が覚める。気分も悪くて朝っぱらから吐き戻してしまった。これだけだと飲み過ぎて二日酔いになっただけに聞こえるけど、あの痛み方は2年前のLeadvilleの朝と同じ症状。標高3000mのLeadvilleで先週一晩過ごして今更標高1600mのボルダーで高山病になるとも思えないので、あるいは極寒のオフィスにやられて体調を崩したのかもしれない。幸いレース前日には回復して無事金曜日にLeadville入りできた。
100マイル、30時間にも及ぶレースをサポートするにあたり、Team Junkoクルーの方も相応の準備が必要だ。どこのエイドステーションに何時くらいに着いて何を渡すか前日にしっかり計画を立てる。渡すものも食料だけでなく、ジャケット、替えの靴下・シューズ、ポール、キャメルバックなどなど、アイアンマンの準備が簡単に思えるほど多くの物を持って行かないといけない。計画の段階からレースは始まっている。
とは言っても準備している時のクルーの雰囲気は実に和やか。じゅんこさんも口では「緊張してきたー」なんて言ってるけど、普通にリラックスしているように見える。なんだかハイキングに行く支度をしているみたいな気分で、まあ走る前から距離にびびってたら100マイルなんてとても走れない。
そしてレース当日、午前2時半前に起床。こんなに早く起きるレースはもちろん初めて。レースのためにモーテルの朝食が朝2時半から用意されていたのがすばらしい。午前4時のスタート前に現地に着くと、レースの過酷さからすれば意外なちょっと落ち着いた雰囲気が漂っていた。スタートの直前まで観客がスタートエリアに入れてしまうので、クルーとランナーそろって記念撮影。レースは超長丁場、スタート前からピリピリしていても仕方ない。そしてスタート直前にカウントダウンが始まり、4時ちょうどに号砲。ヘッドランプの光の列が6th Stの坂を駈け降りていく。この集団のうち、30時間以内に戻ってこれるランナーは半分にも満たない。
スタートを見届けてからサポート部隊は一度モーテルへ戻り、一休みして英気を養ってっから荷物を詰め込んで最初のエイドステーションMay Queenへと向かう。車で20分くらいの距離なのでじゅんこさん到着予定の1時間前に出れば十分間に合うだろうと思っていたら、エイドステーションのかなり手前から車が鈴なりで、車を停める場所を探しているうちにどんどん時間が過ぎ、停めて荷物を降ろしてから荷物を抱えて走ってMay Queenへ向かう羽目に。じゅんこさんは予定より10分ほど早く到着、まだ13マイルなので (とは言ってもハーフマラソンの距離)、全く問題なさそうだ。なんとか最初の補給任務を無事終えて、補給部隊は早めに次のエイドステーションFish Hatcheryへ向かった。
途中Turquoise Lakeのダムの景色があまりにすばらしかったのでちょっと撮影タイム。
May Queenまではこの湖岸を走る。
早めに出たおかげでFish Hatcheryではいい場所に車を停められた。スタートから3時間少々でトップランナーが通過、ここまでですでに23マイル走っている。すごいスピードだ。このペースで100マイル走りきるなんてちょっと信じられない。一方じゅんこさんもまだまだ好調で、ここも予定を上回るペースで通過、クルーも任務を終えて早めに次の補給地点Twin Lakesへ移動。
Fish HatcheryからTwin Lakesまでは少し距離があり、サポートクルーにも少し時間の余裕があるので車の中でちょっと仮眠。Leadvilleの景色はどこもすごいけど、Twin Lakeの風景は特に綺麗だ。のどかな風景とは裏腹に、ランナーはあの山の上のどこかにあるHope Passを超えて向こう側へ走っていく。
ここまででスタートから40マイル、自分にとってはもう未知の距離だ。それでもここを通り抜けていくランナーの足取りはみんな軽やか。知らない人がここだけ見たら、とても100マイルのレースには見えないだろう。じゅんこさんのペースも予定より前倒しで、ここからポールを持って元気そうにHope Passへ向かって走っていった。
次のエイドステーションは折り返し地点のWinfield。サポートカーは山を迂回してガタガタの未舗装路を延々と走る。最後の2マイルほどはランナーと車が同じ道を走るので大変なことになっていた。ここは本当に早めに着いて正解、時間が経てば経つほどカオスはひどくなる。ここは折り返し地点なのでちょうど50マイル、道行くランナーはまだまだみんな元気そうだ。ここまでたどり着くだけでもすごいことなのに、ここから同じだけ走って戻るなんて彼らのタフさは本当にすごい。
そして、ほぼ予定通りの時間にこの道を駆け登ってじゅんこさんがWinfieldにやってきた。ここからTwin Lakesまでゆきこさんがペーサーとして走る。ゆきこさんはじゅんこさんと何度も一緒に練習していてHope Passも走ったことがあるので、何も心配することはない。
むしろ心配なのは低いところからやってきた自分の方。足の方はまあ大丈夫だろうけど、薄い空気にやられてちょっと走っただけで息が切れる。もう1週間コロラドにいるのにどうしたことか。でもここまで来てしまったら何があっても走るしかない。微妙に緊張感が高まる。 そこにカズカワ組のお絵かき職人Edがチョークを持ってやってきた。まばらにやってくるランナーをよけつつ手早く道路に応援の文字を描く。うまいタイミングでじゅんこさん&ゆきこさんも戻ってきて、ついにここから自分の番がスタート。
Twin Lakesはコースの最低地点でここからしばらくきついジープロードの登り。スタートからここまで60マイル走ってきたじゅんこさんにも疲れの様子が見えて、登りでは無理せず歩いてペースを保つ。辺りも薄暗くなってきて、目印の蛍光スティックがトレイルにぼんやりと光っている。コロラドトレイルのシングルトラックに入った頃にはすっかり日が暮れて、フラッシュライトとヘッドランプの明かりだけが頼り。足元を照らしながらシングルトラックを走るのはなかなか楽しい。でも走り始めて1時間も経っていない自分はそういう余裕があって当たり前。ここまで16時間ひたすら走り続けてきたじゅんこさんは本当にたくましい。
途中、Mount Elbert Mini Stationで小休止。ここのエイドステーションはドリンクしかなく、じゅんこさんには持ってきたミニおにぎりを食べてもらう。ここまででTwin Lakesから大体3~4マイル、予想通りのペースだ。ここからもうしばらくコロラドトレイルが続き、そのうちにジープロードに出る。ここまで来れば次のHalf Pipeのエイドステーションまであとすぐ…というのは自分の根拠のない思い込みだった。この先自分の楽観的な当てずっぽうがじゅんこさんを苛むことになる。
このジープロードはゆるい下りで、ここまで何度も長い下りをこなしてきたじゅんこさんの足には大きな負担になった。早歩きのランナーにどんどん抜かれてしまい、じゅんこさんも時間が気になって焦りが出てくる。ここで次のエイドステーションまでの距離をきちんと把握していればよかったのだけど、当てにならない自分の感覚でつい「あと2マイルくらい」とか言ってしまい (自分の場合距離に関わらず「あとちょい」と言い聞かせながらレースをする傾向がある)、そのたびにじゅんこさんをさらに焦らせることにことになった。それでも必ず次のエイドステーションはやってくる。予定時刻の範囲内になんとかHalf Pipeのエイドステーションに着き、ここでしっかり補給してもらってその間に自分はサポート部隊に電話。彼らはもう2マイル先のTreelineで待っている。
スタートから19時間、レースはその過酷さをだんだん顕にしてきた。途中、道端で胃の中身を全部吐き戻しているランナーがいる。うずくまって止まっているランナーもいる。じゅんこさんは補給してにわかに元気になったけど、足の痛みは辛そうだ。いつもならなんでもない2マイルという距離がとても長く感じる。そのうちにようやく彼方に車の明かりが見え、Treelineのサポートクルー補給地点まではあとちょっと。最後はちょっと頑張って走り続けて第3ペーサーのけんじさんにバトンタッチ。自分はここでしばしの休憩、でもじゅんこさんはまだまだ走り続けている。
再びFish Hatcheryに戻ってきたときにはすでに日が回っていた。サポートクルーも疲労の色を隠せない。サポートの場所を確保した途端こんな風になっていた。自分も次の区間に備えてこの間にしっかり食べておかないといけない。今回背負ってきたバックパックは手元にポケットがなく走りながら食べるのが難しいので、食いだめするにこしたことはない。
午前1時を回ったところで長く暗い道を走り抜けてきたじゅんこさん&けんじさんがFish Hatcheryに戻ってきた。ここまでくればレースも3/4終了。でもこの先にはバイクでも最大の難関になるPowerlineの激坂が待ち構えている。
Powerlineに向かう舗装路の途中、深夜に大音量で音楽を流している家があった。でも人の姿は見えない。先週のバイクレースでは応援で賑わっていたはずのPowerlineもほとんどランナーとペーサーしか見当たらない。深夜に観客がいるはずもなく、ここから先はしっかり自分たちの力で登っていくしかない。見上げると、Powerlineに点々と美しく輝くヘッドランプの白い光の列が見える。苦しみの光…ふとそんな言葉が頭をよぎる。ここの区間は雨で削られた溝が深く、下手なラインを通ると足を使ってしまう。じゅんこさんに少しでも余計な力を使わせないよう、ベストなラインを見極めながら登るよう心がけた。
Powerlineの一番きつい区間を登り終えても坂は終わらない。峠を超えてちょっと下りになってもその先にまた長い登りが続く。Powerlineはここからが正念場だった。ここまで休みなく走り続けてきたじゅんこさんは足の痛みと疲労のピークに達し、眠気を感じるようになってきた。ここでけんじさんのように眠気を吹き飛ばすようなトークショーでもできればよかったのだけど、もちろん自分にそんな能力はない。眠りながらなお気力で登り続けるじゅんこさんに自分ができることと言えば、「あともうちょいでSugarloafの峠だよ」と大本営発表を垂れ流してまた次の坂にさしかかってじゅんこさんをがっかりさせることくらい…我ながら最低だ。ここをバイクで登ったのはもう2年くらい前のことで、どこまで登りが続くのかすっかり忘れてしまった。
今までたかだか50kmしか走ったことのない自分には、今のじゅんこさんの苦痛や疲労がどれほどのものなのか想像がつかなかった。自分がランナーだったら耐えかねてその場でへたりこんでしまったかもしれない。それでもペーサーとして自分の足を止めることだけはできなかった。フィニッシュまでそれほど時間に余裕があるわけではないし、この標高と寒さの中止まって眠るようなことがあったらそれこそ危険だ。今の自分がなすべきことは、感情にフタをしてペーサーの任務に忠実であること。それは少しでも一歩ずつ確実にフィニッシュに近づくこと。そして、じゅんこさんにこんな無理を強いるからには、いつか自分も100マイル走ってこの苦痛を自分で味わにゃなるまいと、薄れ行く空気と眠気で働きが鈍くなった頭の中で思った。
そして、何度となくニセ峠を超えてからようやく見覚えのあるSugarloafの頂上にやってきた。Powerlineの道のりは本当に長く感じた。じゅんこさんはそのさらに3倍長く感じたことだろう。得意の下り坂を前にして再び元気を取り戻し、ここまで80マイル走ってきたとは思えない足取りで坂を駆け降りていく。じゅんこさんが下りに集中できるよう、自分は斜め後ろからフラッシュライトでじゅんこさんの足元を照らしながら走った。Hagerman Pass Rdに出るまでに結構な数のランナーを抜き、調子を取り戻したじゅんこさんを見てここまで来れればMay Queenは目と鼻の先、完走は間違いないと思うようになってきた。
ところが目と鼻の先は思ったよりも遠かった。再びコロラドトレイルに入ってから距離感が狂い、いつものようにあとちょっとと思ったところで85マイルの表示 (May Queenまでまだ2マイル) のが出てきて、またまたじゅんこさんを落胆させてしまう。しかもここのトレイルはかなり険しい。足が元気なはずの自分でさえなんどかつまずいてこけそうになった。しかもここのトレイルは川を挟んでMay Queenの歓声が聞こえるほど近くまで行ってからさらに奥まで進み、ぐるっと回って戻ってくるというなかなか意地の悪いルートになっている。コースが合っているかじゅんこさんが心配するのも無理はない。でも一本道のトレイルで道を間違えるはずはなく、川を渡ってまもなく道路に出て、とうとうMay Queenのエイドステーション付近までやってきた。
ここでハプニング発生。この寒い中、パンツ一丁の男3人組がいきなり飛び出してきて、じゅんこさんの目の前で踊り始めた。彼らは実はじゅんこさんの職場の同僚のみなさん。過酷なレースが突然お祭りムードに変わってしまう不思議な一瞬だ。偶然Team Junkoサポートカーも隣に停まっていて、ここでダンサーに囲まれながら補給。ここまで来ればあと残り13マイル、制限時間まであと5時間あるから足さえ動き続ければフィニッシュは問題ないだろう。
ここでゆきこさんにペーサーを託すとどっと眠気が襲ってきけど、ちょうど空も明るくなってきて眠るに眠れない。7マイル先のTabor Boat Ramp近くでじゅんこさん&ゆきこさんがやってくるのを待った。そして、今までずっとサポートカーの運転手を務めた最終ペーサーユーキを投入。6マイル少々で残り3時間、もう何も心配することはない。
ほぼ任務を終えたサポート部隊は6th Stの端で待機。2時間くらいで来るかなと思っていたら、なんと1時間半も経たないうちにLeadvilleに帰ってきた。他のランナーが軒並み歩いている中、じゅんこさんは最後の6マイルをずっと走り続けていた。100マイル走ってきたとはとても思えないペースでフィニッシュに向けて疾走するじゅんこさんに慌てて合流し、Team Junkoの5人は最後の1マイルを駈け上がる。今まで何度となく駆け上がってきた6th Stなのに、今までと違う風景に見える。そこにはここまで100マイルを走り抜けてきたランナー達の重みがあった。沿道の人々がランナーを讃え、ランナーが他のランナーを讃える。朝日に輝くフィニッシュゲートが眩しく、そしてそれ以上に眩しくランナーが輝いている。午前8時35分、Team Junkoは手を取り合ってフィニッシュ。28時間35分かけてじゅんこさんは100マイルを駆け抜けた。
コース、景色、応援の人々、ボランティアのみなさん、サポートクルー、そしてランナー、すべてが美しく、時には険しく、それでいて感動的なレースだった。レースの場にいるだけで感動できたのは本当にいつ以来のことだろう。今の自分にはまだ100マイル走るということがどういうことなのか実感はできないけれど、レース前に自分がぼんやり想像していたものとはだいぶ違うということだけはよく分かった。
じゅんこさん、完走おめでとうございます。そしてペーサーの機会を与えてくれてどうもありがとう。いつか自分も100マイル走ります。
Race reports by Junko:
Leadville 100 day before race !
Leadville 100 Trail run RACE DAY 1
Start - May Queen Aids station 13.5 miles, May Queen to Fish Hatchery 10miles
Fish Hatchery to Twin Lake 16 miles, Twin Lake to Winfield 10.5 miles
Winfield to Twin Lake 10.5 miles, Twin Lake to Tree Line 12 miles, Tree Line to Fish Hatchery 6 miles
Fish Hatchery to May Queen 10 miles
http://junkorun.blogspot.com/2011/08/may-queen-to-tabor-tabor-to-finish-14.html
ユーキさんのサポート記
レッドビル100ランサポート記
サポート記2+その他
ところが、ボルダー滞在最終日の木曜日の朝、レース2日前にしてひどい偏頭痛で目が覚める。気分も悪くて朝っぱらから吐き戻してしまった。これだけだと飲み過ぎて二日酔いになっただけに聞こえるけど、あの痛み方は2年前のLeadvilleの朝と同じ症状。標高3000mのLeadvilleで先週一晩過ごして今更標高1600mのボルダーで高山病になるとも思えないので、あるいは極寒のオフィスにやられて体調を崩したのかもしれない。幸いレース前日には回復して無事金曜日にLeadville入りできた。
100マイル、30時間にも及ぶレースをサポートするにあたり、Team Junkoクルーの方も相応の準備が必要だ。どこのエイドステーションに何時くらいに着いて何を渡すか前日にしっかり計画を立てる。渡すものも食料だけでなく、ジャケット、替えの靴下・シューズ、ポール、キャメルバックなどなど、アイアンマンの準備が簡単に思えるほど多くの物を持って行かないといけない。計画の段階からレースは始まっている。
とは言っても準備している時のクルーの雰囲気は実に和やか。じゅんこさんも口では「緊張してきたー」なんて言ってるけど、普通にリラックスしているように見える。なんだかハイキングに行く支度をしているみたいな気分で、まあ走る前から距離にびびってたら100マイルなんてとても走れない。
そしてレース当日、午前2時半前に起床。こんなに早く起きるレースはもちろん初めて。レースのためにモーテルの朝食が朝2時半から用意されていたのがすばらしい。午前4時のスタート前に現地に着くと、レースの過酷さからすれば意外なちょっと落ち着いた雰囲気が漂っていた。スタートの直前まで観客がスタートエリアに入れてしまうので、クルーとランナーそろって記念撮影。レースは超長丁場、スタート前からピリピリしていても仕方ない。そしてスタート直前にカウントダウンが始まり、4時ちょうどに号砲。ヘッドランプの光の列が6th Stの坂を駈け降りていく。この集団のうち、30時間以内に戻ってこれるランナーは半分にも満たない。
スタートを見届けてからサポート部隊は一度モーテルへ戻り、一休みして英気を養ってっから荷物を詰め込んで最初のエイドステーションMay Queenへと向かう。車で20分くらいの距離なのでじゅんこさん到着予定の1時間前に出れば十分間に合うだろうと思っていたら、エイドステーションのかなり手前から車が鈴なりで、車を停める場所を探しているうちにどんどん時間が過ぎ、停めて荷物を降ろしてから荷物を抱えて走ってMay Queenへ向かう羽目に。じゅんこさんは予定より10分ほど早く到着、まだ13マイルなので (とは言ってもハーフマラソンの距離)、全く問題なさそうだ。なんとか最初の補給任務を無事終えて、補給部隊は早めに次のエイドステーションFish Hatcheryへ向かった。
途中Turquoise Lakeのダムの景色があまりにすばらしかったのでちょっと撮影タイム。

May Queenまではこの湖岸を走る。

早めに出たおかげでFish Hatcheryではいい場所に車を停められた。スタートから3時間少々でトップランナーが通過、ここまでですでに23マイル走っている。すごいスピードだ。このペースで100マイル走りきるなんてちょっと信じられない。一方じゅんこさんもまだまだ好調で、ここも予定を上回るペースで通過、クルーも任務を終えて早めに次の補給地点Twin Lakesへ移動。
Fish HatcheryからTwin Lakesまでは少し距離があり、サポートクルーにも少し時間の余裕があるので車の中でちょっと仮眠。Leadvilleの景色はどこもすごいけど、Twin Lakeの風景は特に綺麗だ。のどかな風景とは裏腹に、ランナーはあの山の上のどこかにあるHope Passを超えて向こう側へ走っていく。

ここまででスタートから40マイル、自分にとってはもう未知の距離だ。それでもここを通り抜けていくランナーの足取りはみんな軽やか。知らない人がここだけ見たら、とても100マイルのレースには見えないだろう。じゅんこさんのペースも予定より前倒しで、ここからポールを持って元気そうにHope Passへ向かって走っていった。
次のエイドステーションは折り返し地点のWinfield。サポートカーは山を迂回してガタガタの未舗装路を延々と走る。最後の2マイルほどはランナーと車が同じ道を走るので大変なことになっていた。ここは本当に早めに着いて正解、時間が経てば経つほどカオスはひどくなる。ここは折り返し地点なのでちょうど50マイル、道行くランナーはまだまだみんな元気そうだ。ここまでたどり着くだけでもすごいことなのに、ここから同じだけ走って戻るなんて彼らのタフさは本当にすごい。
そして、ほぼ予定通りの時間にこの道を駆け登ってじゅんこさんがWinfieldにやってきた。ここからTwin Lakesまでゆきこさんがペーサーとして走る。ゆきこさんはじゅんこさんと何度も一緒に練習していてHope Passも走ったことがあるので、何も心配することはない。

むしろ心配なのは低いところからやってきた自分の方。足の方はまあ大丈夫だろうけど、薄い空気にやられてちょっと走っただけで息が切れる。もう1週間コロラドにいるのにどうしたことか。でもここまで来てしまったら何があっても走るしかない。微妙に緊張感が高まる。 そこにカズカワ組のお絵かき職人Edがチョークを持ってやってきた。まばらにやってくるランナーをよけつつ手早く道路に応援の文字を描く。うまいタイミングでじゅんこさん&ゆきこさんも戻ってきて、ついにここから自分の番がスタート。

Twin Lakesはコースの最低地点でここからしばらくきついジープロードの登り。スタートからここまで60マイル走ってきたじゅんこさんにも疲れの様子が見えて、登りでは無理せず歩いてペースを保つ。辺りも薄暗くなってきて、目印の蛍光スティックがトレイルにぼんやりと光っている。コロラドトレイルのシングルトラックに入った頃にはすっかり日が暮れて、フラッシュライトとヘッドランプの明かりだけが頼り。足元を照らしながらシングルトラックを走るのはなかなか楽しい。でも走り始めて1時間も経っていない自分はそういう余裕があって当たり前。ここまで16時間ひたすら走り続けてきたじゅんこさんは本当にたくましい。
途中、Mount Elbert Mini Stationで小休止。ここのエイドステーションはドリンクしかなく、じゅんこさんには持ってきたミニおにぎりを食べてもらう。ここまででTwin Lakesから大体3~4マイル、予想通りのペースだ。ここからもうしばらくコロラドトレイルが続き、そのうちにジープロードに出る。ここまで来れば次のHalf Pipeのエイドステーションまであとすぐ…というのは自分の根拠のない思い込みだった。この先自分の楽観的な当てずっぽうがじゅんこさんを苛むことになる。
このジープロードはゆるい下りで、ここまで何度も長い下りをこなしてきたじゅんこさんの足には大きな負担になった。早歩きのランナーにどんどん抜かれてしまい、じゅんこさんも時間が気になって焦りが出てくる。ここで次のエイドステーションまでの距離をきちんと把握していればよかったのだけど、当てにならない自分の感覚でつい「あと2マイルくらい」とか言ってしまい (自分の場合距離に関わらず「あとちょい」と言い聞かせながらレースをする傾向がある)、そのたびにじゅんこさんをさらに焦らせることにことになった。それでも必ず次のエイドステーションはやってくる。予定時刻の範囲内になんとかHalf Pipeのエイドステーションに着き、ここでしっかり補給してもらってその間に自分はサポート部隊に電話。彼らはもう2マイル先のTreelineで待っている。
スタートから19時間、レースはその過酷さをだんだん顕にしてきた。途中、道端で胃の中身を全部吐き戻しているランナーがいる。うずくまって止まっているランナーもいる。じゅんこさんは補給してにわかに元気になったけど、足の痛みは辛そうだ。いつもならなんでもない2マイルという距離がとても長く感じる。そのうちにようやく彼方に車の明かりが見え、Treelineのサポートクルー補給地点まではあとちょっと。最後はちょっと頑張って走り続けて第3ペーサーのけんじさんにバトンタッチ。自分はここでしばしの休憩、でもじゅんこさんはまだまだ走り続けている。
再びFish Hatcheryに戻ってきたときにはすでに日が回っていた。サポートクルーも疲労の色を隠せない。サポートの場所を確保した途端こんな風になっていた。自分も次の区間に備えてこの間にしっかり食べておかないといけない。今回背負ってきたバックパックは手元にポケットがなく走りながら食べるのが難しいので、食いだめするにこしたことはない。

午前1時を回ったところで長く暗い道を走り抜けてきたじゅんこさん&けんじさんがFish Hatcheryに戻ってきた。ここまでくればレースも3/4終了。でもこの先にはバイクでも最大の難関になるPowerlineの激坂が待ち構えている。
Powerlineに向かう舗装路の途中、深夜に大音量で音楽を流している家があった。でも人の姿は見えない。先週のバイクレースでは応援で賑わっていたはずのPowerlineもほとんどランナーとペーサーしか見当たらない。深夜に観客がいるはずもなく、ここから先はしっかり自分たちの力で登っていくしかない。見上げると、Powerlineに点々と美しく輝くヘッドランプの白い光の列が見える。苦しみの光…ふとそんな言葉が頭をよぎる。ここの区間は雨で削られた溝が深く、下手なラインを通ると足を使ってしまう。じゅんこさんに少しでも余計な力を使わせないよう、ベストなラインを見極めながら登るよう心がけた。
Powerlineの一番きつい区間を登り終えても坂は終わらない。峠を超えてちょっと下りになってもその先にまた長い登りが続く。Powerlineはここからが正念場だった。ここまで休みなく走り続けてきたじゅんこさんは足の痛みと疲労のピークに達し、眠気を感じるようになってきた。ここでけんじさんのように眠気を吹き飛ばすようなトークショーでもできればよかったのだけど、もちろん自分にそんな能力はない。眠りながらなお気力で登り続けるじゅんこさんに自分ができることと言えば、「あともうちょいでSugarloafの峠だよ」と大本営発表を垂れ流してまた次の坂にさしかかってじゅんこさんをがっかりさせることくらい…我ながら最低だ。ここをバイクで登ったのはもう2年くらい前のことで、どこまで登りが続くのかすっかり忘れてしまった。
今までたかだか50kmしか走ったことのない自分には、今のじゅんこさんの苦痛や疲労がどれほどのものなのか想像がつかなかった。自分がランナーだったら耐えかねてその場でへたりこんでしまったかもしれない。それでもペーサーとして自分の足を止めることだけはできなかった。フィニッシュまでそれほど時間に余裕があるわけではないし、この標高と寒さの中止まって眠るようなことがあったらそれこそ危険だ。今の自分がなすべきことは、感情にフタをしてペーサーの任務に忠実であること。それは少しでも一歩ずつ確実にフィニッシュに近づくこと。そして、じゅんこさんにこんな無理を強いるからには、いつか自分も100マイル走ってこの苦痛を自分で味わにゃなるまいと、薄れ行く空気と眠気で働きが鈍くなった頭の中で思った。
そして、何度となくニセ峠を超えてからようやく見覚えのあるSugarloafの頂上にやってきた。Powerlineの道のりは本当に長く感じた。じゅんこさんはそのさらに3倍長く感じたことだろう。得意の下り坂を前にして再び元気を取り戻し、ここまで80マイル走ってきたとは思えない足取りで坂を駆け降りていく。じゅんこさんが下りに集中できるよう、自分は斜め後ろからフラッシュライトでじゅんこさんの足元を照らしながら走った。Hagerman Pass Rdに出るまでに結構な数のランナーを抜き、調子を取り戻したじゅんこさんを見てここまで来れればMay Queenは目と鼻の先、完走は間違いないと思うようになってきた。
ところが目と鼻の先は思ったよりも遠かった。再びコロラドトレイルに入ってから距離感が狂い、いつものようにあとちょっとと思ったところで85マイルの表示 (May Queenまでまだ2マイル) のが出てきて、またまたじゅんこさんを落胆させてしまう。しかもここのトレイルはかなり険しい。足が元気なはずの自分でさえなんどかつまずいてこけそうになった。しかもここのトレイルは川を挟んでMay Queenの歓声が聞こえるほど近くまで行ってからさらに奥まで進み、ぐるっと回って戻ってくるというなかなか意地の悪いルートになっている。コースが合っているかじゅんこさんが心配するのも無理はない。でも一本道のトレイルで道を間違えるはずはなく、川を渡ってまもなく道路に出て、とうとうMay Queenのエイドステーション付近までやってきた。
ここでハプニング発生。この寒い中、パンツ一丁の男3人組がいきなり飛び出してきて、じゅんこさんの目の前で踊り始めた。彼らは実はじゅんこさんの職場の同僚のみなさん。過酷なレースが突然お祭りムードに変わってしまう不思議な一瞬だ。偶然Team Junkoサポートカーも隣に停まっていて、ここでダンサーに囲まれながら補給。ここまで来ればあと残り13マイル、制限時間まであと5時間あるから足さえ動き続ければフィニッシュは問題ないだろう。
ここでゆきこさんにペーサーを託すとどっと眠気が襲ってきけど、ちょうど空も明るくなってきて眠るに眠れない。7マイル先のTabor Boat Ramp近くでじゅんこさん&ゆきこさんがやってくるのを待った。そして、今までずっとサポートカーの運転手を務めた最終ペーサーユーキを投入。6マイル少々で残り3時間、もう何も心配することはない。
ほぼ任務を終えたサポート部隊は6th Stの端で待機。2時間くらいで来るかなと思っていたら、なんと1時間半も経たないうちにLeadvilleに帰ってきた。他のランナーが軒並み歩いている中、じゅんこさんは最後の6マイルをずっと走り続けていた。100マイル走ってきたとはとても思えないペースでフィニッシュに向けて疾走するじゅんこさんに慌てて合流し、Team Junkoの5人は最後の1マイルを駈け上がる。今まで何度となく駆け上がってきた6th Stなのに、今までと違う風景に見える。そこにはここまで100マイルを走り抜けてきたランナー達の重みがあった。沿道の人々がランナーを讃え、ランナーが他のランナーを讃える。朝日に輝くフィニッシュゲートが眩しく、そしてそれ以上に眩しくランナーが輝いている。午前8時35分、Team Junkoは手を取り合ってフィニッシュ。28時間35分かけてじゅんこさんは100マイルを駆け抜けた。
コース、景色、応援の人々、ボランティアのみなさん、サポートクルー、そしてランナー、すべてが美しく、時には険しく、それでいて感動的なレースだった。レースの場にいるだけで感動できたのは本当にいつ以来のことだろう。今の自分にはまだ100マイル走るということがどういうことなのか実感はできないけれど、レース前に自分がぼんやり想像していたものとはだいぶ違うということだけはよく分かった。
じゅんこさん、完走おめでとうございます。そしてペーサーの機会を与えてくれてどうもありがとう。いつか自分も100マイル走ります。
Race reports by Junko:
Leadville 100 day before race !
Leadville 100 Trail run RACE DAY 1
Start - May Queen Aids station 13.5 miles, May Queen to Fish Hatchery 10miles
Fish Hatchery to Twin Lake 16 miles, Twin Lake to Winfield 10.5 miles
Winfield to Twin Lake 10.5 miles, Twin Lake to Tree Line 12 miles, Tree Line to Fish Hatchery 6 miles
Fish Hatchery to May Queen 10 miles
http://junkorun.blogspot.com/2011/08/may-queen-to-tabor-tabor-to-finish-14.html
ユーキさんのサポート記
レッドビル100ランサポート記
サポート記2+その他
08/14/2011
Leadville 10k Run
Leadville 100 MTBの翌日、表彰式の後ファンサービスに応じてポーズを取るTopeak Ergon Racing Teamの池田選手とラカタ選手。来年の2人の活躍が楽しみだ。
そして毎年恒例のLeadville 10k Run。2007年にLeadville 100 MTBの翌日に出走して以来、毎年タイムが遅くなっている曰く付きのレースだ。距離こそ短いけどワークロードの高さゆえLeadvilleレースシリーズの中で一番標高の影響が出るレースかもしれない。標高1桁のサンタクララからやってきていきなり走っても結果は出ないだろうと半ば諦めムードで、レースシューズより重いトレイルランニングシューズしか持ってこなかった。
レースは例年どおり正午スタート。このレースも他のLeadville Seriesのレースの例にもれず年々豪華になっている。チップ、フィニッシュゲートに加え先導車の荷台にはなんとビデオカメラ。去年みたいにダッシュで飛び出してバカヤロー賞を獲得したい衝動に駆られるも、重いトレランシューズでは足が回らず最初から集団に埋もれてしまった。そして最初の登り坂で一気に肺が音を上げてスローダウン。予想通り今年は厳しいレースになりそうだ。
ところが、スタートから1マイルのところで先頭集団にトラブル発生。舗装路からジープロードに入ってさらに右に折れてCounty Rd 36に入るところで先頭グループが直進してしまった。「たぶんこっちだよ」と指差すランナーのおかげで自分は難を逃れ、一時的にトップ5くらいに順位が上がった。それも束の間、道を戻ったり林を横切ったりしてコースに復帰したランナーに続々と抜かれる。自分のペースはさっぱり上がらない。折り返しのラップは22分前半、去年より1分ほど遅い。
そして試練は復路にやってきた。走り方だけでスピードを保てる往路と違い帰りは登り坂。自分の本当の出力が試される。足はまだまだ回りそうなのに酸化剤が足りず激しくスピードダウン、どんどん後続のランナーに抜かれた。ちょっと坂がきつくなると酸欠で頭が朦朧とする。足には余裕があるのに呼吸が追い付かないというのはいかにもレッドヴィルだ。舗装路に入ってからのきつい登りでまた頭が白くなり、下りに入ってなんとか意識を取り戻して後は半分惰性で最後の坂を登ってフィニッシュ。タイムは去年より2分も遅い49分11秒、順位も27位に沈んだ。
レース直後息を切らして喘ぎながら寝転がっていると「おうおう、たった1時間なのになんだみっともねぇ」(脚色あり) という声が聞こえてきた。海沿いからやってきていきなりLeadvilleでレースするとこうなってしまうということを、何卒ご理解いただきたいものだ。何分かして息が落ち着くと不思議と体の疲れはあまり感じない。翌日、脚よりも腹筋周りが筋肉痛になっていた。
リザルト。

そして毎年恒例のLeadville 10k Run。2007年にLeadville 100 MTBの翌日に出走して以来、毎年タイムが遅くなっている曰く付きのレースだ。距離こそ短いけどワークロードの高さゆえLeadvilleレースシリーズの中で一番標高の影響が出るレースかもしれない。標高1桁のサンタクララからやってきていきなり走っても結果は出ないだろうと半ば諦めムードで、レースシューズより重いトレイルランニングシューズしか持ってこなかった。

レースは例年どおり正午スタート。このレースも他のLeadville Seriesのレースの例にもれず年々豪華になっている。チップ、フィニッシュゲートに加え先導車の荷台にはなんとビデオカメラ。去年みたいにダッシュで飛び出してバカヤロー賞を獲得したい衝動に駆られるも、重いトレランシューズでは足が回らず最初から集団に埋もれてしまった。そして最初の登り坂で一気に肺が音を上げてスローダウン。予想通り今年は厳しいレースになりそうだ。
ところが、スタートから1マイルのところで先頭集団にトラブル発生。舗装路からジープロードに入ってさらに右に折れてCounty Rd 36に入るところで先頭グループが直進してしまった。「たぶんこっちだよ」と指差すランナーのおかげで自分は難を逃れ、一時的にトップ5くらいに順位が上がった。それも束の間、道を戻ったり林を横切ったりしてコースに復帰したランナーに続々と抜かれる。自分のペースはさっぱり上がらない。折り返しのラップは22分前半、去年より1分ほど遅い。
そして試練は復路にやってきた。走り方だけでスピードを保てる往路と違い帰りは登り坂。自分の本当の出力が試される。足はまだまだ回りそうなのに酸化剤が足りず激しくスピードダウン、どんどん後続のランナーに抜かれた。ちょっと坂がきつくなると酸欠で頭が朦朧とする。足には余裕があるのに呼吸が追い付かないというのはいかにもレッドヴィルだ。舗装路に入ってからのきつい登りでまた頭が白くなり、下りに入ってなんとか意識を取り戻して後は半分惰性で最後の坂を登ってフィニッシュ。タイムは去年より2分も遅い49分11秒、順位も27位に沈んだ。
レース直後息を切らして喘ぎながら寝転がっていると「おうおう、たった1時間なのになんだみっともねぇ」(脚色あり) という声が聞こえてきた。海沿いからやってきていきなりLeadvilleでレースするとこうなってしまうということを、何卒ご理解いただきたいものだ。何分かして息が落ち着くと不思議と体の疲れはあまり感じない。翌日、脚よりも腹筋周りが筋肉痛になっていた。
リザルト。
08/13/2011
Leadville Trail 100 MTB・戦国風雲録
コロラドの夏、レッドヴィルの夏。空を駆けるレースLeadville Trail 100 MTBを観なければ我が夏はやってこない。うまい具合に仕事の用事を拵えて、「出張」でレース直前にコロラドへ帰ってきた。
スタート前。バイクでごったがえすこの独特の雰囲気がレース気分を盛り上げる。うまく写ってないけど、この中に我らがユーキ選手もいるはず。そして、今年はユーキさんのチームメートで去年のMTBマラソン世界チャンピオン、Alban Lakata選手も来ている。
今回畏れ多くもDave WiensがTwin Lakeの補給を担当することになったので、日本人部隊はPipelineのエイドステーションで待機。
ここは標高3000m、サンノゼで買ったどら焼きがすごいことになっている。
スタートから1時間40分弱で先頭集団、続いてユーキとAlbanがいる第2集団がやってきた。ユーキ選手はなかなかいい位置につけている。
今年はTwin Lake補給チームとうまく連絡が着かず、レースの途中経過がなかなか分からない。Pipelineを通過してから戻ってくるまでの3時間半がとても長く感じる。やがてトップのTodd Wellsが通過し、Albanが追いかけて、それから結構な人数の選手が通過して行った。ユーキ選手は20番台後半でやってきて、ボトルを渡したときにはかなり疲れた表情だった。タイムは去年より早いけどここから厳しいレースになりそうだ。
補給任務を終えてフィニッシュへ向かう。今年はコースレコード更新こそならなかったものの、例年上位のTodd Wellsがついに優勝。満を持してやってきたAlbanは惜しくも2位だった。ユーキ選手は去年の自己ベストを更新する7時間17分、27位でフィニッシュ。今年は上位14人が6時間台というとんでもないレベルの高さで、つい4年前にDave Wiensが史上初の6時間台でフィニッシュしたのを思うと、恐ろしい進歩だ。Leadvilleは戦国時代に突入した。
あまり (というか全然) 環境に恵まれていない東京で練習して、いきなりコロラドに戻ってきてそれでも進歩し続けているのはすごい。お疲れさまでした。
観てると出たくなるのが人情。来年まだカリフォルニアにいたら、7月にLake Tahoeで開催される予選レースに出たくなってきた。
レッドビル100MTBレースレポート:今度は自分のレースレポートです☆
"The secret of success is to know something nobody else knows." ~Aristotle Onassis (1906-1975)~
スタート前。バイクでごったがえすこの独特の雰囲気がレース気分を盛り上げる。うまく写ってないけど、この中に我らがユーキ選手もいるはず。そして、今年はユーキさんのチームメートで去年のMTBマラソン世界チャンピオン、Alban Lakata選手も来ている。

今回畏れ多くもDave WiensがTwin Lakeの補給を担当することになったので、日本人部隊はPipelineのエイドステーションで待機。


スタートから1時間40分弱で先頭集団、続いてユーキとAlbanがいる第2集団がやってきた。ユーキ選手はなかなかいい位置につけている。
今年はTwin Lake補給チームとうまく連絡が着かず、レースの途中経過がなかなか分からない。Pipelineを通過してから戻ってくるまでの3時間半がとても長く感じる。やがてトップのTodd Wellsが通過し、Albanが追いかけて、それから結構な人数の選手が通過して行った。ユーキ選手は20番台後半でやってきて、ボトルを渡したときにはかなり疲れた表情だった。タイムは去年より早いけどここから厳しいレースになりそうだ。
補給任務を終えてフィニッシュへ向かう。今年はコースレコード更新こそならなかったものの、例年上位のTodd Wellsがついに優勝。満を持してやってきたAlbanは惜しくも2位だった。ユーキ選手は去年の自己ベストを更新する7時間17分、27位でフィニッシュ。今年は上位14人が6時間台というとんでもないレベルの高さで、つい4年前にDave Wiensが史上初の6時間台でフィニッシュしたのを思うと、恐ろしい進歩だ。Leadvilleは戦国時代に突入した。
あまり (というか全然) 環境に恵まれていない東京で練習して、いきなりコロラドに戻ってきてそれでも進歩し続けているのはすごい。お疲れさまでした。

観てると出たくなるのが人情。来年まだカリフォルニアにいたら、7月にLake Tahoeで開催される予選レースに出たくなってきた。
レッドビル100MTBレースレポート:今度は自分のレースレポートです☆